日本では全くなじみのないこの「聖マルティン祭(St.Martinstag)」。
ドイツでは、知らない人が居ないほど、有名な秋の行事で、毎年、11月11日にドイツ各地で行われます。
子供たちを中心に、ランタン(提灯みたいなもの)を持って街中をねり歩きます。
宗教行事なのでエンターテインメント性はありませんが、ランタンの灯る幻想的な雰囲気が素晴らしかったので、お伝えしたいと思います!
目次
聖マルティン祭とは
まずは「聖マルティン」について。
聖マルティンは、ローマ帝国の騎士でした。
この人にちなんだ「聖マルティン伝説」というものがあります。
ある冬のひどく寒い日に、聖マルティンが馬に乗って城門の前まで行くと、破れた服を着た貧しい乞食に出会いました。
そこで聖マルティンは、寒さに震える乞食を哀れに思い、自分の着ていたマントを剣で2つに切り、寒さが凌げるようにと半分をその貧しい乞食に分け与えたということです。
この、「聖マルティン伝説」をもとにしたお祭りです。
11月11日が聖マルティンの命日とされており、この頃に行われています。
夕方になると、ランタン(提灯)をさげた子どもたちが「ザンクト・マルティンの歌(St.Martins Lieder)」を歌いながら町をねり歩きます。
練り歩いた後は、教会や学校などに皆で集まり、聖マルティンがマントを切り分けるシーンが演じられ、子供達は「ヴェックマン(Weckmann)」という人間の形をしたパンやお菓子、果物などがもらえます。
さらに、ハロウィンのように、近所の家を回って、聖マルティンの歌を披露してお菓子をもらうことができます。
ランタンについて
子供たちは、幼稚園や学校でランタン(提灯)を手作りします。
こちらはデュッセルドルフに展示してあったものです↓
ドイツの小学校の生徒の手作りです。
これは四角いものばかりですが、色々な形のものがあります。
もちろん市販のランタンもスーパーなどでたくさん販売されていて、ユニコーンやキャラクターものなどかわいいものがたくさんあります。
このランタンに、昔はロウソクを入れていたようですが、現在はランタン専用の「電気付き棒(?)」が売られていて、ほとんどの子供達がそれを利用していました。
電気付き棒↓
紐の先端についているのが、電球です。
ランタンに取り付けた様子↓
電池を入れて、スイッチを入れると、紐の先の電球が光ります。
窓辺や庭の飾り付けが幻想的!
我が家も、日程の違う2か所ほどの「聖マルティン祭」に行ってきました。
みんなで練り歩くのは一緒でしたが、歩く場所によって各家の窓辺や庭の飾り付け具合が全く違うのでとても楽しめました!
窓辺にたくさんランタンを飾ってライトアップしているお家↓
庭にランタンを刺しているお家↓
何故か、ちょっと怖い系の顔のランタンが人気のもよう…。
このお家が一番人気↓
木にたくさんのランタンを吊り下げてのライトアップ。
とても幻想的で美しく、子供たちもそちらに吸い込まれていくし、みんながこぞって写真を撮っているような状況に。
また、地域の方々が、道端でランタンを持って立っていたり、窓から顔をのぞかせていたりもしていました。
聖マルティン祭の実際のながれ
デュッセルドルフ市内で、2か所の聖マルティン祭(別の日程)に行ったのでご紹介。
1つめは夕方5時から始まって、約1時間15分程度街中を歩きました。
子供たちを中心に、その親や、ザンクトマルティンの歌を演奏するバンドも一緒に歩きます。
バンドの演奏と幻想的な風景でとっても良かったのですが…。
ただ、歩く距離が長すぎる…!
しかも、歩くスピードも速くて、ドイツの小学校の子供たちはタフだな~と感心しました。
うちの子供たちも何とか歩ききっていましたが、ヘトヘトに…。
到着した教会で、マント切りの儀式を見て終了。
その後、近所のお店に行って、子供たちがザンクトマルティンの歌を披露して、お菓子をもらって帰ってきました!
2つ目は夕方5時30分から開始。
小学校から出発して、街中をぐるりと1周して小学校まで帰ってくるコース。
これも、バンドと一緒に1時間程度のお散歩です。
こちらのグループの小学生はのりが良くて、ザンクトマルティンの歌をバンドに合わせて大きな声で歌いながら歩いていました。
小学校でマント切りの儀式をして終了。
そして、こちらでは最後にヴェックマンやお菓子、果物の入った袋↓をもらって帰ってきました(事前にお金を払っています)。
袋には、マントを分け与える聖マルティンの絵が描いてあります。
2か所参加しましたが、場所によって、街や人の雰囲気が違って興味深く感じました!
聖マルティン祭でもらうパンの「ヴェックマン(Weckmann)」とは
聖マルティン祭の頃からクリスマスまでドイツで販売されている、人型の菓子パンです。
うちの近所では、白いパイプを持っているものが多いです。
名前の由来は、ドイツ語の「ヴェッケン(Wecken)=白いパン」+「マン(Mann)=人・男性」=「ヴェックマン(Weckmann)」。
もともと、ヴェックマンは名前も性別も分からないどこかの誰か、なのだそうです。
諸説ありますが、ヴェックマンは「森の精」が擬人化されたものとも言われている様です。
年末に、この「森の精」に祈りをささげることで、来年の豊かな収穫を約束してくれると考えられていました。
これが、聖マルティン祭の時に配られます。
このパン、中は何も入っていない普通~のパンです。
ですが、ドイツではハード系のパンが多い中、ヴェックマンはバターの入ったブリオッシュ生地のリッチ系なパンです。
上にアーモンドがかかっているのを見つけたので購入してみました↓
この時期だけの限定なので、パン屋で探してみてくださいね~!
まとめーデュッセルドルフ中心部での開催日程
日本では、全く聞いたことのない行事でしたが、ドイツで実際に参加してみて、ランタンの灯る幻想的な雰囲気が美しく、とても印象に残るものでした!
デュッセルドルフ中心部では、毎年、アルト・シュタッドで実施されています。
マルティン祭前日11月10日の夕方から子どもたちの行列が街を練り歩き、市庁舎前とブルク広場では「マント切りの儀式」の寸劇が演じられています。
見学はもちろん誰でもできるので、このランタンの幻想的な雰囲気を、旅行ついでに楽しんでみるのも良いのではないでしょうか!