ドイツ文化

ドイツは、超学歴社会。

ドイツに来てから、日本は学歴社会って言われているけどドイツはどうなのかな~と疑問に思っていました。

色々調べてみたら、それこそ、日本以上にドイツやフランス、イギリスなどは超学歴社会と言われているらしいので、ドイツについて詳しく調べてみました。

すると、ドイツは小学校の時点で大学に進学するか、手に職を付けるかといったシビアな判断をしなくてはならず、さらにその後、大学進学→博士号取得でかなり人生が変わってくるようです(いい意味で)。

日本では、大学院に行って頑張って博士号取得しても職がないとか、博士号があってもほとんど意味ないのでは…?という状態。

これじゃあ、研究や勉学に向いていて志が高い優秀な若者達が将来に全く希望がもてないって私でも分かるんですけど…?という何とも言えない現状です。

その点では、ドイツは勉学に対して優れた人、または努力した人が正しく評価されていると言えます。

以下、ドイツの教育の現状と、ドイツで博士号取得するとどんなふうに人生変わるのかという点をお伝えしたいと思います。

目次

ドイツは9歳でほぼ将来が決まる(ドイツの学校教育について)

ドイツは州によって制度が若干異なる場合がある様ですが、一般的には以下の制度。

初等教育

基幹学校Grundschule(6~10歳)

いわゆる小学校。ここを卒業する10歳までに、その後、大学に行くか、それ以外の道へ行くか決めなくてはならない。というか、成績によって決められる。それによって進む学校が違う。

中等教育

大学進学希望者

ギムナジウム(9年制)

最終的に、大学の入学資格であるアビトゥア(Abitur)をパスすることが目標。アビトゥアは基本1回しか受けられず、合否ではなく、アビトゥアのスコアによって入学できる大学や学部が決まります。大学側は、平均点数(NC)を指定し、定員になるまで優秀な人からとっていきます。

大学進学以外の道

実科学校Realschule(6年制):卒業後に職業専門学校への進学する。

基幹学校Hauptschule(5年制):職業訓練を受ける生徒が進む。卒業後は就職。

ギムナジウムへ行っても、適性がないと判断されて実科学校や基幹学校へ行くことはあるが、その逆(実科学校や基幹学校→ギムナジウム)はかなり困難だとのこと。

高等教育

総合大学(Universität)

専科大学(Fachhochschule)

 

ちなみに、ドイツの学校は小学校から大学までどれも基本的に無料です。

ドイツでDr.(博士号)を持つ人々

有名な人では、まず、メルケル首相。物理学の博士号を持っています。夫も超高学歴

その他、ドイツの会社の役員はDr.を持っていることが多いと見たので、実際にドイツの大企業のサイトでVorstand(取締役会)を見てみました。

右が取締役会人数の中のDr.やProf.所持者の人数↓。

Volkswagen(フォルクスワーゲン)(自動車): 9人中3人

Allianz(アリアンツ)(保険):8人中4人

SIEMENS(シーメンス)(複合企業、テクノロジー、電子電気):8人中2人

そう言われている割に意外と少ない感じ?と思いましたが、全体に占めるDr.などの所有者数からするとかなり多いと言えるでしょう。

まあ、ほんとうに一部だし、会社内部の人事は分からないので何とも言えないところもありますが…。

でも、会社のサイトに記載されている名前の前に、Dr.やProf.などの称号がきっちり付いていたことだけは確かです。

称号がいかに重要視されているかが分かりますね~。

日本の会社では全く書いてありませんでした。

ドイツでのDr.(博士号)の位置づけ

ドイツでは、どういう風にDrが位置づけられているかという点について。

銀行を開設するにしろ、インターネットのプロバイダーを申し込むにしろ、個人情報を入力する際には、だいたい名前の前に「Titel(称号)」入力欄があり、「Dr.(博士)」「Prof.(教授)」「Prof.Dr.(教授、博士)」を選ぶようになっています

日常的に何かを申し込む際にこれです。

日本では見たことなかったので最初はかなり驚きました。

また、手紙やメールを書くときは、これらの称号を名前の前に付けることになり、Dr.○○○やProf.Dr.○○○となります

(ちなみにDr.をいくつか持っていると。Dr.Dr.○○○となることもあり。)

 

いちいち記載させられるだけあって、Prof.やDr.であるとかなり社会的信用が高い様です。

例えば、ドイツでビザを取る時に、場所によってはDr.専用のレーンがあってあまり並ばないで済むとか、家を借りるのもDr.を持っていると信用が高く借りやすいとか。

待遇が違っています。

家の表札の名前の前にも「Dr.」を付けておくという人もいるようです。

Titel(称号)を持っていることは本人にとって誇らしいことだし、社会的にも認められている、ということですよね。

ドイツは真の学歴社会

とにかく、ドイツでDr.持っていると人生が違うようなことが分かりました。

でも、そのDr.とるまでが、本当にものすごく大変なんだそうです。

まず、10歳から始まるギムナジウムから大学へ行って博士号を取得するまでの何年もの間、何度も何度も厳しい試験をくぐりぬけていかなくてはならないのです。

なかなかの覚悟と努力が必要になってくると思います。

ですが、その、大変な努力や、身につけた能力が、適切に評価されているとも言えます。

日本だと、「能力」というよりは、「行った大学名=学歴」で判断されるという感じですが、

ドイツでは、「その人の学んできたこと・やってきた努力→高い能力=学歴」で社会的尊敬を受けているという印象です。

だから、ドイツは日本とは違った意味での、真の「学歴社会」と言えると思います

ちなみに、将来ヨーロッパで働きたい人や、移住なんか考えている人は、ちゃんと大学など出て、学士か修士かあわよくば博士とかを取得しておいた方が良い様です。

現地で就活の際に、シビアに学歴が問われるし、就労ビザ取得の際にも「大学を卒業し、又はこれと同等以上の教育を受けたこと」が必要条件となってきますよ!

まとめ。日本とドイツ、どっちがいいか?

私が行っている語学学校の先生の話ですが(ドイツ人)、日本では、大学で学んだ事と全く違う職業に就くことは良くあるようだけど、ドイツではそういったことは全くないとのお話でした。

日本なんて、大学に行ってもまだやりたいことが見つからない、自分の適性が分からないなんて、かなりあることだと思うのですが…。

それを、10歳でその後の将来がほぼ決定してしまうのは、やっぱり負担が高いですよね~。

自分自身、9歳で真剣に今後の人生についてなんて考えていなかったし、今子供を持つ親としても、小学校中学年でその後の人生の大きな決断を下すなんて難しいと感じてしまいます。

9歳くらいだと、子ども本人の意見もあるけど、親の意向ってのも結構大きいと思うし…。

私が9歳の頃、その後の人生を決定していたら、たぶん、絵を描いたりデザインをしたりする方向へ進んでいたのではないかな~(絵を描くのが大好きだった)。

もし、ドイツだったら、私は今の職業につけていなかったでしょう。

個人的には、職業選択をするにあたって、小学校以降の自分の体験・経験が大きかったので。

でも、最初から9歳の時点で将来を決める選択があると分かっていれば、今よりもっと子供の適性や才能を意識し、注意深く毎日を過ごすことができるのかもしれないとも思ってみたり…。

難しいところです。

まあ、どっちがいいかって言われると…

個人的には自由度の高い日本が私向けですが、親になった今は、学費がすべて無料なドイツが良いです…!

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